第45回教育システム情報学会全国大会

教育システム情報学会 第45回全国大会 終了報告

全国大会委員会 委員長 小尻智子(関西大学)

 2020年の教育システム情報学会の全国大会を,9月2日(水)から4日(金)の期間,オンラインで開催いたしました.288名もの多くの方にご参加いただきました.まずは,オンライン大会の実施方法の検討から当日の運営までご尽力いただきました大会委員会の皆様に,心より感謝申し上げます.また,シンポジウムやプレカンファレンス,企画セッションなどの企画をオーガナイズして大会を盛り上げてくださった皆様,座長をお引き受けいただきました皆様に,心よりお礼を申し上げます.
 本大会は広島工業大学での開催を予定しておりましたが,新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,3月にオンラインでの実施に変更いたしました.一般・企画セッションはZoomで,特別講演・シンポジウムなどの規模の大きいイベントはZoomのWebinarで実施いたしました.他学会ではあまり見られない試みとして,インタラクティブセッションにRemoを採用することにいたしました.Remoは仮想空間を区切った個別の部屋単位で会話できるとともに,空間全体の参加者を見ることができるというツールです.参加者自身が希望する発表を聞けるだけではなく,他の参加者がどの発表を聞いているかということが把握できるため,参加者の皆様にインタラクティブセッションの会場にいるという感覚を得ていただけることを期待して導入いたしました.Zoomと比較すると認知度が低いツールのようでしたので,スムーズに利用していただけるかを心配していましたが,幸い質問もほとんど出ず,好意的な意見もいただけてほっとしています.
 さて,本大会のテーマである「学びのサスティナブル化に向けた教育システムの現状と未来」を決めた当初は,コロナの存在は少なくとも国内ではありませんでした.しかし,新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,私たちのすべてが学びのサスティナブル化の困難さを実感することになりましたので,タイムリーなテーマとなりました.テーマに関する企画として,特別講演では学びのサスティナブル化に対するユネスコの取り組みを,文部科学省 日本ユネスコ国内委員会副事務総長の亀岡様にご紹介いただきました.最終日の公開シンポジウムでは,「コロナ後の大学教育 ~大学教育のブレンディッド化の展望~」というテーマのもと,文部科学省高等教育局専門教育課科学・技術教育係長の河本様,山梨大学大学院総合研究部工学域・教授の塙先生,大阪大学全学教育推進機構教育学習支援部・教授の村上先生に,教育のデジタライゼーション,ブレンディッド教育,FDの立場から今後の大学のブレンディッド化の展望とそれを支えるために必要な事柄に関して議論していただきました.この公開シンポジウムには学会外からも含めて232名もの方にご参加いただきました.多くの質問をいただき,今後の大学教育に関する皆様の関心の深さが感じられたシンポジウムとなりました.
 来年の全国大会は,再度,広島工業大学での開催予定です.実行委員長の松本慎平先生をはじめ,中国地方の先生方には2年連続でお引き受けいただき,本当に感謝しております.来年こそは皆様とface-to-faceでお会いし,お好み焼きやカキ,穴子に舌鼓をうちながら,熱い議論ができることを信じて,関係者一同準備に努めたいと思っております.