第44回教育システム情報学会全国大会

企画セッション

小型ハードウェアと電子工作による教育システム・ツールの開発

オーガナイザ:渡辺健次 (広島大学), 國宗永佳 (千葉工業大学), 越智洋司 (近畿大学)

概要:本企画セッションでは, 小型ハードウェアと電子工作を活用した新しい教育システムの開発に関して, 発表および議論を行う. Raspberry Pi, Arduino, micro:bit およびセンサーなどの, 小型ハードウェアを活用した, 様々な教育システム・ツールが開発されるようになってきた. 本企画セッションは, 小型ハードウェアと電子工作のアイディア・実装事例の情報を交換・共有することで, 新しい分野の教育システム・ツール開発研究の萌芽を共有することが目的である. 完成された研究だけでなく, Work in Progress 的な発表も歓迎する.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

技術・その他
キーワード:小型ハードウェア, 電子工作

ICTを活用したPBL(problem / project based learning)の支援

オーガナイザ:高橋聡(関東学院大学), 高橋 B. 徹(実践女子大学), 瀬田和久(大阪府立大学), 笠井俊信(岡山大学)

概要:近年, 知識の使い方や身に着け方を学ぶ教育方法が重要視され, 学校教育への導入が進んでいます. こうした教育方法の代表例として, PBL(problem / project based learning)が挙げられます. 一方で, PBLの実践に関して, いくつかの課題が明らかになってきています. 例えば, “PBLでは学習者の主体的な活動を重視するがゆえに, 授業のコントロールが難しい”. “知識教育とは異なり, 学習者の学習状態の把握や学習成果の評価が難しい”. この状況に対して, ICTを利用し, このような課題を解決するための様々な取り組みが行われています.
本企画セッションでは, PBLに関するICTの活用に関する研究を広く募集し, 討論を行います. 特に, ICTを活用したPBLの教育実践例, ICTによるPBL学習者の学習評価機能や学習支援機能の開発例, ICTによるPBL教育者の指導支援機能の開発例, ICTのログデータなどを活用したPBLの学習プロセスの可視化や分析例などの発表を歓迎いたします.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→教育・学習手法→アクティブラーニング
→分析・評価→学習者特性・行動分析
→学習評価・アセスメント
キーワード:PBL, 学習履歴, グループワーク評価

SDGs(Sustainable Development Goals)に貢献する教育システム

オーガナイザ:小西達裕(静岡大学), 田中孝治(金沢工業大学), 光原弘幸(徳島大学)

概要:2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では, 地球上に山積する様々な課題の解決が国際目標として掲げられています. SDGsは, 17の目標と169のターゲットから構成され, その一つには, 「包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し, 生涯学習の機会を促進する」ことが挙げられています. こうした状況において, 「持続可能な開発を促進するために必要な知識・スキルの習得」のための学習環境の充実が求められています. SDGs の採択から5年が経過しようとしています. 年限である2030年に向けて, 近年における教育システム情報学領域における知見が共有されることによって, SDGsに貢献する教育システムの更なる発展が期待できます. 本セッションでは, 教育の質保証, 健康・福祉教育, 人権・ジェンダー教育, 自然・環境・エネルギー教育, 防災教育, 平和教育など, 持続可能な世界を実現するための17ゴールを対象とした教育システムに関する発表を広く募集いたします.
なお本セッションは, 学会誌2021年度特集号(2020年6月投稿締切予定)の企画と連動するものです.
<SDGsとは.https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html>

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→対象別教育→HRD・生涯学習
→高等教育
→領域別教育→スキル学習
キーワード:異文化理解, 質保証, 問題解決支援
テーマ独自のキーワード:健康・福祉教育, 消費者教育, 技術者教育, 人権・ジェンダー教育, 自然・環境・エネルギー教育, 防災教育, 平和教育

対話(dialogue)は学習にどのような役割を果たしているのか

オーガナイザ:山川修(福井県立大学), 中村一浩(慶應義塾大学), 田中洋一(仁愛女子短期大学)

概要:文部科学省は, 新しい学習指導要領の目玉として「主体的で対話的で深い学び」という考え方をあげている. しかし, 対話が成り立つための条件等は資料からは見えてこない. 一方, 医療やビジネス分野においても, 対話により精神疾患を治癒したり, 対話がイノベーションを促進するという研究が発表されている. また, 対話が学習にとって重要であるという言説を否定する方は少ないと思うが, 対話が成り立つための必要十分条件は, と問われて即答できる方も少ない.
 本企画セッションでは, 学習にとって対話がどのような役割を果たしているか, 対話が成立する条件は何か等, 実践研究, 理論研究を問わず, 学習と対話の関係を探求した研究発表を募集する. また, 本セッションでは, 研究発表だけに終わらず, 最後に, 発表者および参加者全員で, 学習と対話に関する対話を実施し, 対話によって対話を探求するという試みも実施する予定である.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→教育・学習手法→協調学習
キーワード:コミュニケーション支援, コミュニティ支援, グループ学習
テーマ独自のキーワード:対話, ダイアローグ

連携教育やハッカソンなどにおける実践・実務・関心指向の学習支援

オーガナイザ:松浦健二(徳島大学), 小林建太郎(デジタル・ナレッジ), 東本崇仁(東京工芸大学), 卯木輝彦(フォトロン ), 柏原昭博(電気通信大学), 川口泰司(サイコム・ブレインズ), 越山修(三菱UFJリサーチ&コンサルティング/早稲田大学), 西端律子(畿央大学), 八重樫理人(香川大学), 吉川厚(東京工業大学), 米谷雄介(香川大学)

概要:学校教育や学習塾のような組織の下で中長期的な計画に根ざした教育・学習に加えて, 企業内研修やソフトウェア開発におけるハッカソンのように, 技能向上やスキル学習といった実践・実務・関心指向での広義の教育・学習の機会が増えている. さらにはアイデアソンやワークショップ・チュートリアル教育といった, 目的特化や協働のための場, 何らかの導入時の効果をねらった学習の場は, 至るところで企画されている.
 このような活動は, プログラミング教育が学校教育において必修・強化されるという文脈に加え, 社会人の多忙さから来る短時間での学習や移動しながらの学習といった多様な文脈がある. また, イベント主催側の多属性組織連携やコミュニティ拡大といった背景も考えられる. そこで, 本企画セッションでは, これらに該当する事例を広く集め, そのノウハウ共有や学術研究に展開できる可能性を探る.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→教育・学習手法→連携型教育
教育・学習手法→アクティブラーニング
対象別教育  →HRD・生涯学習
キーワード:産学連携, 地域連携, ハッカソン, アイデアソン, 企業内教育/研修
テーマ独自のキーワード:マイクロラーニング, ワークショップ, チュートリアル

AI/ロボット/VR・ARを活用した学習・教育支援のイノベーション・リノベーション

オーガナイザ:柏原昭博(電気通信大学), 松居辰則(早稲田大学), 松原行宏(広島市立大学), 小西達裕(静岡大学), 長谷川忍(北陸科学技術大学院大学), 松浦健二(徳島大学), 曽我真人(和歌山大学), 小尻智子(関西大学)

概要:学習・教育支援の新たな時流の一つとして, AIやロボット, Virtual Reality(VR), Augmented Reality (AR)を活用したHuman-Computer Interactionに基づく支援方法に関する研究が盛んになっている. 本企画セッションでは, こうした先端的技術によるUXの向上や効果的なインタラクションを通じて, 学習者のシステムに対するエンゲージメントを高めようとする研究にフォーカスする. これらの手法は, 先端的技術を基盤とした教育・学習支援のイノベーションであり, これまで本学会で提案されてきた支援手法のデザインやアルゴリズムに対するリノベーションでもある. 本企画セッションは昨年度開催された「AI/ロボット/VR・ARを用いた学習・教育支援のイノベーション・リノベーション」を発展させ, 関連する研究を一堂に会して, 本学会において先端的技術を活用する研究を推進することを目指すものである.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

技術→先進的学習支援技術→先進的学習支援
キーワード:アフェクティブコンピューティング, VR, AR
テーマ独自のキーワード:AI, コミュニケーションロボット, イノベーション, リノベーション

学習データの先進的・実効的な利活用とその課題

オーガナイザ:緒方広明(京都大学), 柏原昭博(電気通信大学), 田村恭久(上智大学), 林佑樹(大阪府立大学), 松居辰則(早稲田大学), 村上正行(京都外国語大学), 吉田自由児(デジタル・ナレッジ), 加藤泰久(NTT), 北村士朗(熊本大学), 仲林清(千葉工業大学), 真嶋由貴惠(大阪府立大学), 松居辰則(早稲田大学), 森本容介(放送大学)

概要:大規模な学習履歴, あるいは粒度の細かな学習行動履歴, 生体情報等(学習データ)から学習者の学習過程のみならず思考過程, 心的状態をも把握できる可能性に期待が寄せられている. 学習評価・教育評価の観点からは「今までできなかったこと」, つまり, 学習プロセスに関する評価の可能性への期待であると考えられる. 学習評価・教育評価の本質的な目的は授業改善・学習環境改善にある. したがって, 学習データの利活用は学習環境デザインの文脈の中で「技術と人間の共生」という考えのもと戦略的かつ計画的に位置づけられる必要がある. 単に大規模データの収集と分析で解決できるものではなく, 学習環境デザインの本来的な課題も含めて挑戦するべき新たな課題も多いと考えるべきである. そこで, 本企画セッションでは, 学習データの利活用に関する理論・技術・実践の先進的な事例をご紹介いただき, 実効性の高い学習データの利活用を実現するための課題を共有し, 学習データの利活用が優れた学習環境デザインのための基盤となるために取り組むべき課題を整理したい.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→設計   →学習環境デザイン
分析・評価→学習者特性・行動分析
→学習評価・アセスメント
技術  →先進的学習支援技術→分析技術
キーワード:学習科学, ポートフォリオ, テスト理論, レスポンス分析, 数理モデル, データマイニング, 学習データ, ラーニングアナリティクス, ビッグデータ, 学習過程, 思考過程, 心的状態, 生体情報, 学習履歴

医療・看護・福祉領域におけるロボット, ICT等活用教育

オーガナイザ:真嶋由貴恵(大阪府立大学), 丹羽雅之(岐阜大学), 中村裕美子(大阪府立大学), 木下淳博(東京医科歯科大学), 須永昌代(東京医科歯科大学)

概要:本企画セッションでは, 医療・保健・福祉全般にかかる教育活動における有効なICT, ロボット, AI等の先進的なユーザインターフェースの利活用について議論できる場としたいと思います. 例としては, 医師や看護師, メディカルスタッフなど医療・保健・福祉全般の専門職特有の状況に合わせた新人教育, 現任教育や継続教育方法, 離職していた医療職等の再就職支援に関することなど, 恒常的にこの分野の質向上を図るための教育デザインと実践報告, また, 療養を支援するための患者指導, 企業や学校, 地域で行われている健康教育等における実践など, 多くの方と情報を共有でき, 交流できる機会となれば幸いです.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→領域別教育→医療・看護・福祉教育
キーワード:医療者教育, 専門職教育, 継続教育, 社会人教育, 施設内教育, 研修デザイン, スキル学習, 健康教育, 患者教育, ロボット・AIの活用, インストラクショナルデザイン, ICT活用, eラーニング, ユーザインターフェース, 質保証

新技術と教育情報を活用した教育学習環境の設計

オーガナイザ:三石大(東北大学), 佐々木整(拓殖大学), 光原弘幸(徳島大学), 高木正則 (岩手県立大学), 鷹野孝典 (神奈川工科大学)

概要:新しい技術の登場は, 次世代教育・学習環境の設計・開発・実践について新しい発想を与えてくれるとともに, その実現に欠かせないものとなっています. スマートディバイスやクラウドコンピューティング, IoT, ディープラーニング, ロボット, VR・AR技術など, 多様な新技術の利用に基づく教育・学習環境の構築や授業設計がますます重要になっていくことでしょう.
 本企画セッションでは, このような新しい技術と教育情報を活用した次世代教育・学習環境について, そのための教授設計も含め, システム・基礎技術の開発, 実践, ならびに, 新しい教育・学習手法に関する幅広い研究発表を募集し, 共に考える議論の場としたいと思います.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

技術→ICT活用      →ディバイス活用
→プラットフォーム活用
→技術開発・運用  →プラットフォーム開発
→先進的学習支援技術→分析技術
→ユーザインタフェース
キーワード:モバイル, タブレット, IoT, LMS, CMS, ラーニングアナリティクス, 仮想現実(VR), 拡張現実(AR)
テーマ独自のキーワード:スマートディバイス

初等教育におけるプログラミング教育

オーガナイザ:西端律子(畿央大学), 浅羽 修丈(北九州市立大学), 尾崎 拓郎(大阪教育大学), 鷹岡 亮 (山口大学), 永田 奈央美(静岡産業大学), 西野 和典 (九州工業大学), 長谷川 理 (信州大学), 波多野 和彦(江戸川大学), 森 祥寛(金沢大学), 山川 広人(千歳科学技術大学), 山本 樹(創価大学)

概要:2020年から初等教育(含む小中一貫校, 特別支援学校)において, プログラミング教育が必修になるが, 教材開発, カリキュラム開発, 教員研修, 教員養成, ICT環境整備, 中学校「技術・家庭科」との接続などさまざま解決すべき課題がある.
 本セッションではこれらの課題をどのように乗り越え, 次世代の子どもたちの教育に資するべきかを, 実践研究を基盤として議論していきたい.
 なお, 主たる対象領域は「初等教育」とするが, 就学前および中等教育との接続, 地方自治体や企業, 地域や個人のボランタリーベースの実践についても対象とする.

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→対象別教育→初等教育
→領域別教育→プログラミング教育
キーワード:授業実践, ビジュアルプログラミング
テーマ独自のキーワード:アンプラグドプログラミング, フィジカルプログラミング, 教材開発, カリキュラム開発, 地域連携, 社会貢献

実践的なeラーニングと学習支援システムの開発・運用

オーガナイザ:安間文彦(サイバー大学) , 小西達裕(静岡大学), 三好康夫(高知大学)

概要:近年, 高等教育におけるeラーニングは一般的となり, 多くの教育機関でさまざまな学習支援システムが開発され, eラーニング実践が展開されている. 対面授業と組み合わせたブレンディッド型のeラーニングのみならず, 通信教育課程をもつ大学のようにフルオンラインでの講義を前提としたeラーニング実践も増加している. さらには, 大学間での単位互換の取り組み, コンテンツの共有, 教育の共同実施なども展開されつつある.
本企画セッションでは, eラーニング実践におけるさまざまな知見や運用における課題などを議論する. 具体的には, LMSやeポートフォリオなどのプラットフォーム開発や運用, コンテンツ開発環境の構築, オンライン上での演習・実習科目の実践, モバイル学習環境, クラウド環境の活用, 履修継続のための学習支援, 教育の質保証のための授業改善, 単位互換制度やコンテンツ共有などの大学間連携の取り組みなど, 幅広い観点から発表を募集する. (※本セッションは9月開催の第3回研究会と連動しており, 同じテーマで発表をいただくことでより議論を深めることも可能です)

カテゴリ表との対応(議論観点→カテゴリ→分野名)

支援対象→教育・学習手法→ブレンディッド学習
技術  →ICT活用   →プラットフォーム活用
キーワード:eラーニング授業利用, 反転授業, LMS, eポートフォリオ
テーマ独自のキーワード:通信教育, 大学間連携, リカレント教育, 質保証