企画セッション

「身体知・経験知に関わる学習の分析と支援」
  • オーガナイザ:
  • 曽我真人(和歌山大学), 柏原昭博(電気通信大学), 小尻智子(関西大学), 長谷川忍(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 主旨:
  • 本企画セッションでは、正解をあらかじめ形式知として表現することが困難な学習対象を中心に取り扱います。形式知とは、記号(言語、数式など)に概念が結びついている知識のことです。形式知の学習では、正解となる知識を記号で表すことができ、それをシステムの中に正解としてあらかじめ書いておくことが可能です。また、その正解を学習者間で記号を通して共有可能です。一方で、本企画セッションで対象とする身体知や経験知は、記号を通じた記述や共有が難しいことから、従来の学習支援研究とは異なるアプローチが必要となります。このような知識は、研究者によっては、暗黙知と呼ぶ場合もありますが、暗黙知の定義は研究者によって異なりますので、具体的には、例えば身体知、認識、行動、動作、経験知、技能、スポーツ、芸術、に関する学習支援とその支援技術に関するテーマを中心に募集します。
「ゲーム・エンターテーメントと教育システム」
  • オーガナイザ:
  • 林敏浩(香川大学), 小西達裕(静岡大学), 安間文彦(サイバー大学)
  • 主旨:
  • 遊びと教育は水と油と言われてきましたが、ゲームを用いた教育システムは古くから研究 や教育実践の対象となってきました。伝統的CAIの代表的なカテゴリとしてゲーム&シ ミュレーション型CAIから、近年ではシリアスゲーム、ゲーミフィケーションと様々な キーワードを挙げることができます。また、ゲームもビデオゲーム的なコンセプトか ら、その面白さ、さらにエンターテーメントまでその裾野が広がり、単にゲームのイ ンタフェースを持つ教育システムにとどまらなくなってきました。そこで本企画セッ ションでは、広い視点でゲーム・エンターテーメントと教育システムに関する理論、 設計、実装、教育実践を議論する場の提供することを考えています。さらに、本企画 セッションは9月に香川大学で開催予定の第3回研究会(ゲーム・エンターテーメン トと教育システム/一般)との連動企画として位置づけております。
「Learning Analytics ver.2 を目指す先端的学習支援技術と学習分析」
  • オーガナイザ:
  • 安武公一(広島大学), 山川修(福井県立大学), 中村泰之(名古屋大学)
  • 主旨:
  • 私たちの生活を支える情報通信技術はいまや遍在化し、日々膨大な活動データ群を生成しています。先行する「データ・サイエンス」と称される一連の分析科学や社会物理学の領域では、圧倒的なデータ群を分析しその背後にある現象の「意味」や「メカニズム」を理解しようと、従来の枠組みを越えた研究のcross-over化、ハイブリッド化が進められています。学習支援システム(LMS)やコース管理システム(CMS)に蓄積された学習ログ・データ、タブレット端末やユビキタス端末が集積している学習活動情報を分析の対象とするLearning Analytics (LA) も、こうしたムーブメントの一環としてとらえることができます。
    2011年以来専門の国際会議(LAK)も毎年開催され注目を集めるようになっている LA ですが、残念ながら他領域とは少し異なり、従来の教育工学/学習科学の研究の枠組みや可能性を大きく革新的に変える方向にはまだ向かっているとは言えません。その理由のひとつとして指摘されるのが、現在のLAが従来通りの人工的で実験的な学習環境、あるいはよくてせいぜい教室単位といった閉じた環境を研究の対象としているということです。こうしたこれまでのシステム開発や教育工学/学習科学研究のフレームワークを大きく修正・拡張しない限り、「蛸壺化」した現状では、たとえば MOOC といったまったく新しい学習環境で「何が」「何故」「どう行なわれているのか」を正しく把握することはできません。
    そこで本企画では、このような問題意識のもとに、これまでのLAの枠組みを越えた、あるいは少なくとも越えようとする ”LA ver.2” を目指したユニークな研究を募集します。具体的には次のような研究を想定しています。
    1. これまでの教育工学/学習科学の方法論にとらわれない、新しい学習データ分析・解析手法に関する研究、実践、あるいは関連するアイデアの提案
    2. LMSやCMSに限定されない、学習ログ・データを蓄積するシステムの開発・運用・応用の試み、あるいは関連するアイデアの提案
    3. データ・サイエンスを志向した、理論モデル(模型)構築の試み、あるいは関連するアイデアの提案
    4. データ・サイエンスとしての教育工学/学習科学を目指した研究手法、研究アプローチの提案、あるいはアイデアの提唱
    上記以外の研究であっても「欧米で流行っているからやってみる」ようなレベルに留まらない、意欲あるユニークで独創的なアイデアであれば募集の対象とします。セッションではLAの今後の可能性までも含めて、活発に議論できればと考えています。
「eラーニング環境のデザインと人材マネジメント」
  • オーガナイザ:
  • 仲林 清(千葉工業大学), 松居辰則(早稲田大学), 加藤泰久(NTTラーニングシステム), 櫻井良樹(NECラーニング), 北村士朗(熊本大学)
  • 主旨:
  • eラーニングを複合的な教育研修メディアと捉える立場から、企業や大学における人材育成や組織開発との連携、学習コンテンツ設計、インストラクショナルデザイン、品質評価、 学習者支援、ブレンデッドラーニング、インフォーマルラーニングなどの方法論、eラーニングツール、システム、実践に関する発表を募集する。
「プレゼンテーションにおける学習支援」
  • オーガナイザ:
  • 小尻智子(関西大学), 長谷川忍(北陸先端科学技術大学院大学), 柏原昭博(電気通信大学), 岡本竜(高知大学), 瀬田和久(大阪府立大学)
  • 主旨:
  • 本セッションではプレゼンテーションにおける知識習得やスキル向上の支援に関する発表を募集します。
    プレゼンテーション支援の研究には、プレゼンテーションに必要なスキルの向上を支援目的とする研究と、プレゼンテーションを手段とした知識習得を支援目的とする研究があります。
    一般に、プレゼンテーションでは聴衆者に伝えたい内容を分かりやすく端的に伝えることが重要であり、そのためには伝えたい内容からスライドに記述する「意味のある内容」を選択するスキル、スライドで言いたい内容を視覚的に表現するスキル、聴衆者を引き付ける話し方をするスキル、など様々なスキルが必要となります。これらのスキル育成方法を検討することは、プレゼンテーション支援でも中心的な課題であり、プレゼンテーションの質を高める上で非常に重要です。
    一方、学習者が学んだ知識をプレゼンテーションすることを通して、しばしばその知識の不十分さ・不適切さへの気づきが得られます。こうした気づきを知識の洗練・定着を図る絶好の機会と捉え、学習者が作成したプレゼンテーションスライドを分析することで、知識の不十分さ・不適切さへの適切な支援を提供することができます。このようなプレゼンテーションスライドおよびその作成を通して学んだ知識の洗練・定着を支援する方法はまだあまり提案されておらず、新しい知識の習得方法となる可能性を秘めています。
    本セッションではプレゼンテーションを対象とした様々な支援に関する議論を通して、プレゼンテーション・スキルだけでなく、プレゼンテーションを介した効果的な知識の習得支援ついて考えていきます。
「キャリアデザインと情報教育」
  • オーガナイザ:
  • 西野和典(九州工業大学)
  • 主旨:
  • 初等中等及び高等教育におけるキャリアデザイン教育では、生徒・学生が将来を見通して主体的に職業意識を持ち、自分の知識・スキルを活かす仕事や職務の形成を行っていく。その際、職種に依存した専門的な知識・スキルだけでなく、課題発見・解決力、創造力、コミュニケーション力、コラボレーション力などの汎用的スキルが求められるが、日本の情報教育が目標に掲げる情報活用能力の育成は、このような汎用的スキルの向上に大きく関係する。
    本企画セッションでは、キャリア形成で求められる汎用的スキルや情報活用能力を育成する情報教育の研究について、発表及び議論を行う。

「新技術の開発と活用による次世代教育・学習環境のデザイン」
  • オーガナイザ:
  • 佐々木整(拓殖大学), 三石大(東北大学), 光原弘幸(徳島大学)
  • 主旨:
  • iPhone/iPadやAndroidに代表されるスマートデバイスの急速な普及や、クラウドコンピューティングの一般化など、教育・学習環境の新たな可能性がますます広がりつつあります。みなさんは、このような新技術を活用した教育・学習環境としてどのようなものを想像し、また、どのような可能性を感じていますか?
    本企画セッションでは、新しい技術の開発はもとより、それらの技術を利用した教育・学習環境の提案やその開発、実践、そのための教育システムや基礎技術の開発、ならびに将来の教育・学習手法に関する幅広い研究発表を募集し、情報交換を行うとともに、これからの教育・学習環境の在り方を議論します。
「日本における情報リテラシー・情報モラル教育 -カリキュラムの国際比較から-」
  • オーガナイザ:
  • 加納寛子(山形大学), 不破泰(信州大学), 小松川浩(千歳科学技術大学), 布施泉(北海道大学), 江島徹郎(愛知教育大学), 野崎浩成(愛知教育大学)
  • 主旨:
  • 「情報」を体系的に学ぶのは高等学校になってからとなっています。 小学校中学校では、国語や道徳の中などに情報モラルを学びます。 しかしながら、国語や道徳の中に情報モラルの内容があるだけでは、 教員の温度差によって、情報モラルを学ぶ児童・生徒とそうでない生徒がおり、すべての児童・生徒に等しく教育の機会を与えるという公教育の理念に反することとなっています。また、大学における情報リテラシー教育については、 初年次教育の一環として取り組まれる動きがみられるようになってきています。大学のユニバーサル化による大学生の学力低下に対応するために、初年次教育では、学習技術(読み書き・批判的思考力・調査・タイムマネジメント・情報検索・プレゼンなど)を 習得させ、大学への適応や専門教育への橋渡しを促している。そのような大学教育の現状において、情報リテラシー教育をどのように位置づけるべきなのでしょうか。そこで、本企画セッションでは、日本国内外で行われている情報リテラシー・情報モラル教育に関する研究発表を広く募集いたします。初等教育段階からどのように情報リテラシーや情報モラルを体系的に学ぶ方法があるのか、学ぶ必要のある内容は何か検討することを狙いとします。最後に、オーガナイザ(加納(山形大)ほか)が、諸外国における情報リテラシー・情報モラル教育に関するカリキュラムについて、国際的な比較を行う中で話題提供を行い、日本の現状と問題点について、発表者と議論したいと思います。
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